グローバル化で重要なのは思いやり

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株式会社ブリヂストン

ブランド推進部 宣伝課 楊 佳 様

グローバル化というと、単に海外で日本のモノを売ることであったり、コスト削減のために生産拠点を海外に作ったり、M&Aを繰り返して企業が大きくなったりなどのイメージが強くあったが、ブリヂストンでの取材を通して、そのイメージは大きく変わった。

ブリヂストンの宣伝課で働く楊さんの考えるグローバル化は、少し違う。楊さんの仕事は、グローバルメッセージをローカルに咀嚼し、その地域に、いかに浸透させていくかを考えコントロールすること。そのために、楊さんは世界各地を飛び回っている。そして、その先々で、各地域にあった広告施策を、現地で、現地の人と話し合う。一番よく知っている現地の人を巻き込むことで、その地域でどのように根付かせるか、広めるかを真摯にさぐっているのだ。

ものづくりの原点を日本に置き、そこで培われた思いを、日本から、海外へ伝えていく。それは決して簡単なことではなく、「現場では計画通りにいかないことばかり。むしろ最初からうまくいくことは稀。」と語る楊さん。そんな楊さんが常に心がけていることは、Win-Winの関係だ。こちらの意見を主張するだけではなく、ブリヂストンと関わることで、どんなメリットがあるか、どのように相手のモチベーションを上げるか、といった視点で、取引先と接している。そこには、お互いの関係を思いやる気持ちが常に求められるという。思いやりがなければ信頼関係は築けない。それは人間関係と一緒だ。

「グローバル化」と「思いやり」。グローバル競争では、一見相反すると思っていたこの二つの言葉が、思いがけず繋がった。ブリジストンのタグラインである「あなたと次の景色へ(Your Journey , Our Passion)」。これは、タイヤを買うお客さんだけに言っているのではなく、ステークホルダーすべてに言っている言葉だというのも、取材を終えた今、素直に頷ける。思いやりこそが重要、グローバル化が少し見えた取材であった。

慶應義塾大学/島

もうそろそろ環境という言葉を考え直そう

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オムロン株式会社

環境事業推進本部

顧客開発部 営業推進課長

主幹 滝口 秀昭 様

 

今、世の中には「地球にやさしく」、「地球を守ろう」という言葉が溢れている。何となくだが、それに大きな違和感を感じていた僕は、環境分野で取り組んでいる企業、OMRONで環境事業を推進している滝口さんを訪問し、環境事業について、特に中国での取り組みについて話を聞いた。

「今、日本でも電力の問題は関心を持たれていますが、中国でも電力エネルギーの問題は大きな課題となっています」

経済が発展する上で電力供給のインフラは欠かせないもの。しかし、中国では、需要に対して、供給が追いついていないということだ。滝口さんは続ける。

「だからといって、供給施設をすぐに建設するということもできません。今ある供給エネルギーをいかに有効に使うか、それを考え、生み出されたのが、電力の『見える化』を推進する私たちの製品です。エネルギーがどこに使われているかを明確にすることで、余分な電力は切り、より効率よくエネルギーを循環させる仕組みづくりを進めています。これは、限りある資源の問題、環境の問題などに対しても、大きな貢献ができると思います」

そう語る滝口さんに対して、僕は環境に対して感じている違和感を伝えた。

「そもそも環境という認識が間違っているのだと思いますよ。どのような形になろうとも地球が滅亡することはありません。滅亡するのはそこで生きる生物、私たちに他ならない。普通に考えて、地球は泣いても、笑ってもいないのです。だから、「地球にやさしく」と訴えかけても何も解決しません。だからこそ、大事なことがある、それは、自分たちが生き抜いていくために、どのような技術を生み出していくかということではないでしょうか」

このように話す滝口さんの目からは強い意志を感じた。

人間はいつの時代も、どんな困難な環境だろうとも技術を生み出し、生き抜いてきた。OMRONの取り組みは、一つの小さなチャレンジかもしれない。しかし、そこには意志が宿っていると僕は感じた。「問題は技術で越えていく」

そして、思った、その意志こそが、人間の進化を生み出してきたのだろうと。

慶應義塾大学/島

「JALらしくないね」が嬉しい

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日本航空株式会社

海外地区販売部 企画グループ 中国アジアオセアニア販売推進グループ

アシスタントマネジャー 浜野 宏史 様

航空会社はどこもたいして違いが見られない。ましてやJALに限っては、官僚的というイメージもあり、他の航空会社と何が違うんだ?という疑問を持っていた。しかし、海外地区販売部に所属する浜野さんへのインタビューを通して、違いが少し見えた。

2001年入社の浜野さんは現在、外国人誘致を行っている。9 ・11やSARS、タイの大洪水、リーマンショックなど、激動の時代を経験されており、「JALを変えたい」という想いが人一倍強い方であった。

では、JALが生き残るためには何が必要なのだろうか。独自のサービスなのか?運賃で勝負するのか?浜野さんに聞いてみた。

「海外ではJALという名は、あまり知られていません。だからこそ日本のナショナルフラッグとしての自覚を今まで以上に持ち、国や日系企業と連携して訪日需要喚起に努めています」

例えば、某大手化粧品会社とタイアップして、外国人旅客にお試し商品の引換券を渡し、旅客が現地(海外)の店舗に来てくれる機会を創り出すキャンペーンを仕掛けた。商品も含め、「日本」に目を向けてもらうために、JALと日系企業が互いに手を取り合っている。

JALを通して、日本を知ってもらう新しい取り組みは、従来の受身体質のJALでは考えられない挑戦といえるかもしれない。

浜野さんにとって一番嬉しいことは、「JALらしくないね」とお客さまから言われること。上司とぶつかりながら少しずつ前進し続けている。

LCCと呼ばれる格安航空の到来で、国内・海外の航空事業がこれまで以上の競争に突入する中、運賃競争とは一線を画し、新たな「サービス」で世界に挑み続けているJAL。

他にも新たな取り組みの一つとして、今年の3月1日から国際線で「AIR吉野家」をスタート。吉野家の牛丼が機内で食べられる。日本で触れる身近な食を国際線で味わえる。機内で日本の普段の生活に触れられる。日本にいるとわからないかもしれないが、海外では日本の食や商品、サービスに高い関心がある。

JALは浜野さんのような若手社員をはじめとして、「JALを変える」ために、挑み続けている。「JALらしくないね」その挑戦が航空業界の常識を壊していくのかもしれない。

慶應義塾大学/島

『考えろ。』グローバルで生きるために。

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日本たばこ産業株式会社 人事部 課長代理 久野 新吾 様

日本たばこ産業(以下JT)がグローバル企業の最先端を走っていることはあまり知られていない。M&Aを行いJTIという海外子会社を設立し、たばこ販売シェア世界3位。食品や医薬など幅広い分野で活躍をみせ税抜売上高2兆円を超える。今回はJTI勤務経験があるJT人事部課長代理の久野新吾さんに海外で活躍するグローバル人財に大切なものを伺った。実際に久野さんがJTIで働いて一番感じたことは「探究と教養の大切さ」だという。

「以前、ヨーロッパでセーリングボートを使ったプロモーションを行いました。その際、プラン自体はヘッドクオーターによって設計されましたが、各市場間で外装色の印象が問題になったのです。日本では緑色の青信号が存在するように、あまり色に明確さを求めていませんが、海外では違います。ギリシャ人の感じる青とロシア人の感じる青は違い、エーゲ海を思い出す青もあれば、冷戦を思い出す青もあるのです。」

このように色だけとっても問題が生じる中、文化的な問題は多く存在する。そこで大切なのは、各々が、国際教養を身につけていくこと。そのために、なぜを考え、探究できる人こそが、グローバル人財に求められる大切な能力だということだ。

「学生の皆さんには探究、いや、もっと根本的な『考える』ことを大事にして欲しいと思っています。『考える』ということについては、学部などは関係ありません。総合的な学問、言い換えればグローバルで通用する教養=リベラル・アーツ、それこそが重要になるのではないでしょうか。」

将来、JTではグローバル人財という言葉はなくなる。グローバル人財が集う組織で区別をする言葉は必要ないからだ。そして、そこでは考えない人財は必要とされなくなる。

考えろ、さもなくば取り残されてしまう。

 

慶應義塾大学 岩橋