日本アイ•ビー•エム株式会社 × 編集部 緊急座談会!!

2011年6月7日。東京都西麻布にある広告企画会社オゼットクリエイティブに日本IBMの人事を担当する岡さんと学生取材新聞編集部の学生五人が集い、座談会が開催された。
参加した学生は、東京大学1年馬場嵜、修士2年の小谷、慶應大学4年島、1年の池貝、早稲田大学2年田口。
採用する側と採用される側という関係を越えてざっくばらんに、現在の学生に感じること、そして、IBMが目指す未来について、などを聞いた。

岡さん:こんばんは。いつもは、こういう場ですと、他の人事スタッフと一緒におり、「それはまずいですよ」と発言を止められてしまうことも多いのですが、今日は一人で来ましたので、何でも聞いてください(笑)。何でも答えます。
学生一同:よろしくお願い致します。
田口:早速で申し訳ないのですが、まず、お聞きしたいのは、人事という立場から今の学生を見ていてどう感じますか?
岡さん:学生さんについて話す前に、今のIBMの問題というか、課題を話しましょう。それは、「まあまあでいい」という人が増えてきているということです。例えば、IBMのコンサルタントは一人ひとりに値段がついています。値段があがれば給料もあがるのですが、その分、値段に見合った仕事を行っていかなければなりません。その中で、近年、頭が痛いのは、値段はあがっていかなくていい、給料もあがらなくていいという人が多いということです。
池貝:昔は違ったのですか?

岡さん:少なくとも、私たちの世代の人間は「負けたら終わり、やるんだったら勝たないと」という人が多かった。
馬場嵜:それは豊かになったということで悪いことでもないような気がするのですが…。
岡さん:確かに、理想的にはガツガツしなくて生きていけるのがいいと、私も思います。しかし、グローバルのレベルでの競争には、「勝つか負けるか」しかないのも、厳然とした事実なのです。
島:でも、甘いと言われるかもしれませんが、僕らの中には、これ以上、競争していくのはどうなんだろうという意識が強くあるのも事実です。
岡さん:そうかもしれませんね。しかし、一つ強く覚えておいて欲しいのは、多くの企業が本当にこの問題で困っているということです。どうにかしないとグローバル競争で生き残れない、と感じています。そこで、学生さんの話に戻りますと、「決められた枠の中におさまって順調にサラリーマン生活を送りたい、安定志向の学生さん」が本当に多いように感じます。
池貝:どのような面でそう感じられるのですか?
岡さん:ひとつ例をあげると、この前も、当社のスタッフが面接をしていたら、ある学生が全ての質問に「3つあります」と答えるらしいのです。2つ目を話しているうちに、3つ目を忘れてしまったりするらしいのですが、とにかく、3つ答える。
馬場嵜:マニュアルでそう教えられたのでしょうか?
岡さん:そうみたいですね(笑)。面接ですら、決めてきたことを決められた通りに答える学生さんがたくさんいます。
小谷:それでは、逆に、いい意味で印象に残っていることはありますか?

岡さん:これは、こういう場面で言っていいのかわからないけれど、面接が終わった後に、こう質問してきた学生がいました。「御社で部長くらいになると、何台くらいクルマを持てますか?」と。きっと、その学生は、本当に何台もクルマを持ちたいと思って聞いてきたのではないと思います。でも、面白かったです。人と違う視点から物事を見れるし、向上心がある学生だと感じました。
島:ここで、話してしまったら、これからみんな、その質問をするかもしれませんね。
岡さん:そうだね(笑)。だから、今まではこの話をしたことはなかったのだけれども(笑)。
池貝:今、日本にはハングリー精神という言葉は死語になっている気がします。
岡さん:日本にいると感じることがないかもしれませんけど、とにかく、学生の皆さんにお伝えしたいのは、この世界は競争の上に成り立っており、「勝つか負けるか」ということです。そのことを肝に銘じてもらいたいと思います。いい悪いは抜きにして、勝たなければ、生きていけない、それが、世界の常識であり、これからの皆さんもその枠組みの中で勝負していかなければならない時代が訪れていると思います。
田口:それでは、この辺りで話題を変えて、IBMが目指す未来というのをお聞きできればと思います。Smarter Planetと謳っていますが、何を目指しているのでしょうか?
岡さん:誤解を恐れずに言えば、単純に、「効率化」ということです。まだまだ形になっていませんが、当社が力を入れているSmarter Planetも、実際のビジネスの現場におけるコンサルタントの業務も「効率よくしよう、ムダをなくしていこう」という一言に尽きると思います。
小谷:具体的には、どのようなことなのでしょうか?
岡さん:例えば、Smarter Planetであげている一つに、渋滞をなくすということがあります。このように、「効率化することで人を幸せにする」、それがIBMの仕事です。
島:本当に効率化することで、人は幸せになれるのでしょうか?
岡さん:国とか地域とかのレベルで考えれば、渋滞というのは完全なムダですよね。
島:ただ、生きる人間のレベルでいえば、やはり、それが、幸せにつながるかどうかは微妙だと思います。渋滞しているからこそ、外をゆっくりと眺められる、何か会話ができる、そういうことって大切なのではないでしょうか?
小谷:僕も思うところがあります。発想を変えれば、もっとこの世の中は幸せになれるのではと思います。例えば、渋滞をなくすことではなく、渋滞をどう楽しめるかを考えることもできるのではと。
岡さん:うーん。今の意見には、妙に納得してしまいました。確かにそのような発想もあるなと。もともと、僕は文系で、そのような発想に近いかもしれません。しかし、違う視点からも考えてみましょう。それは、経済であり、例えば、渋滞であれば、物流という視点です。渋滞がなくなれば、どれほど、物流が速くなり、コストが下がるかということです。今はまだ、この経済の論理が強い気がしますが、将来的には、皆さんが言うような方向へ変わっていくかもしれませんね。
田口:話題は変わりますが、このように、僕たち学生とフランクに、ギリギリと思える話題も躊躇せずお話いただけることからのですが、それとは、真逆な会社ともいえます。ただ、自由という背後には当然責任というものがついてまわります。
馬場嵜:そのような企業の人事を担う立場から、最後に、僕たち学生に向かって何かメッセージをお願いします。
岡さん:所謂、就職活動というあり方にこだわらないでいただければと思います。就職活動という流れがありますが、採用をする側からしますと、正直、関係ありません。もっと自由にやっていただければと思います。
島:それは面接においても、ですよね?
岡さん:そうですね(笑)。「私、世界をSmarter Planetにしたいんです」などと言われる方もいますが、正直、そのようなことは望んでいません。もっと、自分が本当に何をしたいのかを伝えていただければと思います。
池貝:無知な僕たちの率直な質問に対しても、気分を害さず、快くお答えいただきどうもありがとうございました。
学生一同:ありがとうございます。
岡さん:こちらこそ。