なぜ、経営破綻は起きたのか?そして、再建に向け、何に取り組んでいるのか?  — 日本航空株式会社 代表取締役社長大西氏 執行役員二宮氏に聞く

 日本の航空業界に衝撃を与えた日本航空株式会社(以下:JAL)の経営破綻から約1年半。なぜ、経営破綻したのか、そして再建に向けてどのような取り組みを行っているのか。今回、そうした部分について経営トップの方から伺う機会をいただいた。実際に、代表取締役社長 大西賢氏、執行役員 二宮秀生氏に率直に訊ねた。

――社長様を前にしてお聞きしにくいのですが、なぜ経営破綻に至ったのか、端的にお聞かせください。
大西社長:9•11同時多発テロ、SARS、リーマンショックなど外的要因を挙げることはできます。しかし、ここで明確にお伝えしたいことは、本質はそのような表面的な事柄ではないということです。収益性への無関心を生み出してきた社員一人ひとりの意識という根深い問題、もっと言えば、日本の翼を支えてきたJALという冠への『甘え』であり『驕り』に他ならないと私は思っています。
――意識を変えていくのはなかなか難しいと思うのですが?
大西社長:そうですね。ですが、変えていかなければJALの未来はありません。
二宮役員:大西社長とともに、強い覚悟を持って取り組んでいます。
――どのような意識変革を目指していらっしゃるのでしょうか?
大西社長:はっきりと言います。今までのJALは、お客様の方を向いていませんでした。マニュアルが第一だったと言えるでしょう。例えば、JALは世界トップクラスの定時性を誇っていますが、定時性を守らなければいけないというマニュアルにこだわり過ぎて見失っているものがあります。それは、「お客様を考える『心』」です。
二宮役員:たとえば、時間に間に合わないからダメだということではなく、その時、その時の状況を見据え、お客様のことを考え、的確な判断を行い、心から対応していく、そのことが大切なのです。当然、コストでも競争を行っていきますが、私たちが目指すのは、1000円、2000円高くてもJALを使いたいと思われるサービスです。その根底に存在するのは、大西社長のおっしゃる『心』に他なりません。

――その『心』というのはどのようなものなのでしょうか?
大西社長:『日本の心』です。JALが次の時代を築いていくために、私たちはもう一度、きちんと、日本人であることと向き合わなければならないと考えています。日本古来の「おもてなし」や「しつらえ」の心をもう一度、取り戻さないとなりません。日本の企業として、JALの再生への鍵は、そこにあります。「おもてなし」や「しつらえ」の『心』からすべてのサービスは生まれてくる、これは私たち自身のアイデンティティを取り戻す、自分たち自身との闘いであり、挑戦なのです。
――最後にメッセージをお願いします。
大西社長:JALは変わります。そのためには、どんな困難が立ちはだかろうとも、私は進んでいきます。その意志に賛同してくれる方々とともに、歩み続けていきます。そして、働く全ての人はもとより、今回の破綻に伴い辞職された人、JALに関わる全ての人々が誇りに思える会社を何としても創り上げていきます。
――ありがとうございました。

■取材者感想■
 インタビューを通して、私の心に強く刻まれたのは、大西社長と二宮役員の強い眼差しだった。学生である私を、正面から、真っすぐに見据えるその瞳には、想像もできないほどの「覚悟」が宿っていると感じた。    「JALは変わる」、私は理屈なしに、そう実感した。

東京大学/馬場嵜