映画に生きる — 東大文学部卒、三谷匠衡さん

 「いい学校に入って、いい会社に入る」。そのような幸せのあり方の次に来ることとは?ということを考えるために、東大文学部を卒業し、今夏から米国フィルムスクールへ進学する三谷さんを訪問。ジョージ・ルーカスの母校、南カリフォルニア大学で映画を学ぶ道を選んだ彼の生き方に迫ってみた。
■ 映画との出会い
 映画の道を目指すきっかけは『コーラスライン』という映画でした。一度観たことがあったのですが、二度目はもう衝撃的で、身震いするほどの感銘を受けました。大きな画面に映像が出てくるだけなのに、そこから湧き出る感情や、言語化できない圧倒的なエネルギーが胸に突き刺さる瞬間がたまらなくて、映画の魅力に取り憑かれてしまいました。スティーブ・ジョブズのスピーチで “Connecting the dots” という話がありますが、まさに自分の人生の様々な「点」が、一本の「線」として繋がった瞬間でしたね。

■ フィルムスクールへの進学
 映画の道を志してからは、フィルムスクールへの進学を考え出しました。ところが、まず
ハリウッドどころか映画業界に知り合いがいない。お金もない。また、職業経験を経て進学する人がほとんどの狭き門に、学部あがりの自分が入るのは至難の業。それでもとにかく挑戦したいと思い、フィルムスクールに通う学生や、過去に留学を果たした先輩と連絡を取ったり、他大学の映画関連の授業やイベントに参加して知見を深め、映画の脚本を書いたりしました。孤軍奮闘でしたが、少しでも距離を縮めるために思いつく限りのことはやったと思います。
■ 舞台はあくまで「世界」
 いまや、国内/海外、内資系/外資系という二項対立は通用しないと思います。どの分野に進むにしても、活動する舞台は「世界」。日本で働くことに違和感を覚える人がいれば、迷わず外に出ることを勧めたいです。もちろん、必要な知識や言語能力を備えるのは大前提になりますが。
■ 夢と理想を追求する20代
 一度きりの人生、後悔なく生きることが何より大事だと思います。それこそ、20代は何をしてもいいのではな
いでしょうか。就職が第一目標ならばそれでよし。自分の進みたい道を模索したければそれもよし。同期たちで働き始めている人もいますが、人は人、自分は自分なので、私は自分の夢を追求し、没頭していたい。その意味で、今は焦る気持ちはありません。大胆かつ緻密に理想を追求しつつ、頭と心とを信じてやれるだけやる。そんな20代を「生き」たいですね。


■取材■
 東京大学/馬場嵜