カネでもなく、モノでもない。— JICA青年海外協力隊事務局 技術委員 白井巧さん

「途上国でボランティア」という言葉を、最近映画や小説でよく聞くが、その実態はどうなのか。そこで今回は社会貢献を生業としているJICA青年海外協力隊事務局技術委員の白井巧さんにお話を伺った。

JICAは国際協力機構の略称であり、その一つの組織である青年海外協力隊は、農業・工業・教育といった部門で世界各地の発展途上国に日本から人材を送り現地で支援活動行う。その中でも白井さんはスポーツ部門に属し、インド洋沖の島国モルディブに派遣されていた。現在は日本で技術委員を務めている。

スポーツによる支援とは一体何なのか。その仕事を聞くと、「スポーツ分野は、現地の人との生活やクラブでのスポーツ交流を通じて、その技術指導を超えた地域への貢献を果たす事がねらい」と語る。またその為、「体育・スポーツの技能よりも、文化的な相違を乗り越えて対話できるコミュニケーション能力が必要です」という。具体的に白井さん自身は、当時モルディブのバドミントン協会の要請によりジュニアクラブで毎日、練習を指導し、現地で普通に生活していたそうだ。他にも例えば、地域の人を対象にしたバドミントン教室を開いたり、全国大会や国際大会への引率やコーチ役を行う。

今まではこのスポーツ分野の役割は、何もない所にゼロからスポーツの楽しさを伝える・普及させる事が多かった。だが、経済的・政治的に国が豊かになると、嗜好の発展に伴い、スポーツの需要が高まってくる。これからは、スポーツに教育としての機能がより求められるだろうと白井さんは語る。例えば、スポーツを通じて、感謝の気持ちを持つ・他者への尊敬・仲間への思いやりの心を育む、といった情操教育である。「まさにいま、日本の部活のノリが求められています」という。部活のノリとは、前述した情操教育の効果や、集団行動の大事さを学ぶこと、さらにそのスポーツを通じての精神的な成長を遂げることである。日本では、当たり前のこの部活文化は海外には見られない。(一方で、日本人はプロになる訳でもないのになんで毎日こんなに練習してるのか、と言われる事もある。)

 

支援とは、何かモノをあげたり、作ったりというイメージが強い。確かに、そもそも道具がない所には、まず物資支援が必要となるが、現代、どの国もある程度豊かになっていく過程で、物資からマンパワーによる支援が益々重要になってくる。それはモノをどう使うかという技術や、管理能力、優秀な人材を教育するノウハウだ。

その点、JICAボランティアは他国の同等の機関に比べ、マンパワーでの支援に重点を置いており、秀でていると言える。何かを押し付けるのでなく、「異文化をうまく理解しながら、その国の発展・成長によりそう形での支援が望ましい」のである。何故、震災後に世界中から日本宛にメッセージが届くのか、その一因は世界各地で地道に活動し地元と密接に関わっているJICA隊員がいるからだろう。

最後に、社会貢献に興味がある学生へ、白井さんからのメッセージを頂いた。「動機はなんでもいいんです。行ってみて初めて分かる事がたくさんある。相手社会への支援のみならず、そこで活動した日本人が成長をとげ、日本の社会で活躍し貢献してくれることを期待しています」

早稲田大学/田中