“ゼクシィ花嫁”から“カスタム愛(Customize)”へ

インタビュー対象者:

TAKAMI BRIDAL南青山ル・アンジェ教会ブライダルプランナー 竹内弥生子さん

 

Plan Do See 人事部マネージャー(元ウェディングプランナー)久保麻佑子さん

 

エジプトでは、結婚式当日、家を会場として自分たちの好きなように装飾し、夜10時から式を挙げるそうだ。新しい人生を歩みだす2人は、親しい友人に囲まれ、祝福は夜通し続く。

今、日本の結婚式場にとって、ゼクシィに広告を掲載することは必須条件とも言える。しかし、きらびやかな写真と共に、“料金・料理・景色”と統一された基準で何百もの式場紹介が並ぶ中、どれほど個々の式場の魅力が伝えられているのか。ゼクシィ花嫁たちは、マニュアル化された、たった1ページの紙面から何を感じ、どのような基準で式場を選ぶのだろうか。そんな疑問を胸に、TAKAMI BRIDAL(以下、TAKAMI)とPlan・Do・Seeのブライダルプランナーにインタビューさせて頂いた。

長年の歴史を築き上げ、総合ブライダル企業としてブランド力をもつTAKAMI。歴史は浅くとも、時代・地域にあったコンセプトを吹き込み、新しい価値観を提供していくPlan・Do・See。同じブライダル企業でも対照的な両社だが、インタビューを通じて見えてきたのは、式の数だけ存在するエピソードと、式を創り上げるプランナー各々の熱い思いだった。

 

 

■プランナーの力が働いた瞬間について、エピソードを教えて下さい。

TAKAMI お客様のプロポーズを教会でお手伝いしたことです。それをきっかけに、メモリアルプレイスとして、記念日の度にル・アンジェ教会に戻ってきてくれたら、これほど嬉しいことはありません。

Plan・Do・See あるウェディングプランナーの話です。福岡で新店舗をオープンする際、自分自身が本当に納得してご提案できるドレスに出会えなかった。彼女は自ら海外にドレスを買い付けに行き、ドレスショップを開きました。『自身がお客様だった時、必ず気に入ったドレスが見つかるように』というプランナーの想いが形になった瞬間でした。

■ブライダル会社の将来への想いとは?

TAKAMI ブランド力をもっと広めていくことです。チャーチウエディングやブライダルコスチュームのリーディングカンパニーとして、ますますブランドを確立していきたい。これは、私個人の夢ですが、教会で挙式した人と末永くお付き合いできる新事業も発展させていけたら。“託児所を作る”、“プロポーズ事業を運営する”“ル・アンジェ教会ブランドのベビーグッズを送る”など、カップルの幸せにTAKAMIが寄り添っていく。そのためにも、ブライダル会社の使命はお客様に合わせカスタマイズしていく必要がありますね。

Plan・Do・See 本当に素敵な結婚式を提供し続けることで、広告を出さなくてもお客様に選んでいただけるようになることです。私たちにとって“Plan・Do・See”という社名を出すことはそれほど重要ではありません。お客様が良いと思ったホテル・式場をたまたま私たちが運営していた、で構わない。私個人の夢は、サービス業の地位がまだ高くない日本でサービス体感の機会を増やし、サービスの質を高めていくことです。“もし自分がお客様だったら”という目線を大切に、お客様に限らずPlan・Do・Seeに関わるすべての人に心地よさを提供できる会社でありたいですね。

 

今、ゼクシィ花嫁たちは“ 式の間、数時間のステータスを買っている ”のが現実のように思う。しかし、結婚を迎える二人にとって、何が一番幸せかを考えた時、出てくる答えはカップルごとに異なるし、ブライダル会社としてできることは、ステータスや場所の提供に留まらないだろう。つまり、オーダーメイドのサービスに磨きをかけていくことで、“プランナーたちの想い”や“ブライダルライダル会社の独自性”が光っていくと言える。あなたは、結婚式場のあり方、おもてなしの意味をどう考えるか。

立教大学/福島

 

生姜部という一見変わった取り組みにせまる ~「お茶づけ」だけじゃない永谷園

「リアルな汗」が現場に滴る変わった取り組みがある。一風変わった名前の「永谷園生姜部」だ。 永谷園といえば「お茶づけ」というイメージが強い。誰もが疑うことはないだろう。そんな永谷園がここ数年、生姜を取りあげてヒット商品にしようと試みている。

 

そもそも僕が生姜部を知ったきっかけは、コピー機からプリントアウトされてくる女子大生のサーモグラフィーが写った広告であった。生姜への取り組みに興味があったというよりかは、展開されているプロモーションが面白いと思ったことが接点だった。

 

いまの時代、商品の質が注目されず残念ながらプロモーションで売れ行きのおおかたが決まってしまうものが溢れていると思う。CMが面白いから売れる、テレビで取り上げられたから売れるという例は少なくないだろう。 そんな中でメーカーとして商品の開発に試行錯誤する永谷園が生姜にどれほど注力しているか、広報室の萩尾安希奈さんにお話をうかがった。

 

生姜を追求する取り組みの中心にあるのが、「永谷園生姜部」である。そもそも生姜部とはなんなのか、どのような活動をしているのか。「永谷園が生姜に注目しはじめたのは、2007年6月に女性の美容と健康サポートを考え開発した“「冷え知らず」さんの生姜シリーズ”を発売した頃からです。同年12月に生姜について深く知ろうと、社内部活動として“生姜部”を発足しました。」(萩尾さん)

 

生姜部の取り組みは試験農場での生姜の作付から収穫、生姜を作ったレシピの紹介、日本全国~世界の生姜料理食べ歩きなど幅広い。10月28日には生姜の収穫を行った。実際に畑で汗を流し生姜と向きあう経験を萩尾さんは楽しいと語る。

「リアルな汗」というイメージが消費者に与える影響がどのようなものなのだろうか。単に生姜をPRしていきますと意気込むだけでなく、畑まで足を運び栽培して、そこから商品開発へとつなげていく。そんなことは当たり前と思うかもしれない。しかし、プリミティブで当たり前のことであるが、食品業界のすべて企業が実践しているのか甚だ疑問である。

 

汗を流し、商品にひたすら向きあう。「お茶づけ」だけじゃない永谷園。真摯な取り組みから生み出された商品が売れるという原点回帰の流れはおこるのだろうか?

早稲田大学/田口

 

「未来からの留学生」に向けて。 — ベネッセコーポレーション 福島保社長

大学全入時代と呼ばれる現在、大学進学の学力的な障壁は低くなっており、高校・大学生の学習時間や学びの意欲も以前より減っている。東大早慶を目指すようなトップ層の学力に大きな変化は見られないが、中下位層の生徒の学力低下は著しい。ところで、最高学府=東京大学のように誤用されがちだが、本来、最高学府とは「大学」を意味する言葉である。最高の学府を名乗っていながら中学レベルの内容を教える大学すら多数存在する現状のままでは、乱立した私立大学が淘汰される日も近いであろうが、今後の社会において「教育」をどのように捉えてゆけばいいのか。日本全国の0~18歳の5人に1人が受講しているという通信講座「こどもちゃれんじ」」や「進研ゼミ」などの教育ビジネスを展開し、日本の教育業界を牽引するベネッセコーポレーションの福島社長にお話を伺った。

「待ったなしのグローバル化にさらされている昨今だが、現在の日本の教育では、近現代から現在に至る外国との関係性や自国の立ち位置すら十分には教えていない。今のままで、グローバルな世界との“対話”が成立するのだろうか」̶とは福島社長。確かに、現行の学校教育、例えば歴史の授業では、古代、中世の歴史に比べて、現代史は深く教えない。日本文化や実際の社会の仕組みを学ぶ機会も少ないだろう。「グローバル化が進み多様性の中で生きていくには、自国の歴史を理解していることだけでなく文化、哲学、宗教感や教養等が問われる。しかし、今の日本人はそのような教育を受けていない。受験に出ないから誰も勉強しない。」(福島)

 

極論、受験科目だけ勉強していれば東大に入れるし、日本の歴史を知らなくても、社会問題にまったくの無関心でも、一般には東大生=優秀な学生と見なされる。しかし、これでは一流大学生というより、単なる優秀な学生でしかないだろう。

では、東大を頂点としたヒエラルキー的な学歴の構図は、今後どのような意味を持つのだろうか。「学歴とは、進路の幅、将来の選択肢を広げるものであるととらえている。医学部や法学部のように学歴資格を持たないとできない職業はある。しかし、そもそも私は、日本は学歴社会、つまり学歴によって将来の成功が約束された社会、ではないと思う」と福島社長は言う。

大学受験に成功した程度で満足してはいけないが、その成功体験は確かに将来の糧となるはずだ。もちろん、「教 育=学力」ではないし、知育だけで教育を語ることはできまい。「勉強は選択肢を広げ、リスクを減らす。自分が生きる上での可能性につながる」ものであり、「進研ゼミだけで生き方や世界観の広がりまでサポートすることはなかなか難しいが、家庭や学校、地域と連携しながら、子どもたち1人ひとりが自分の可能性をどう広げていくか。その広がりや気付きを与えてあげるのが私たちの仕事」-福島社長はこう語ってくれた。

東京大学/馬場嵜

ビッグマウスだと笑う奴を、笑え。— 株式会社グリーンツリー 代表取締役社長 森田健太郎さん

「強欲になれ」そう語るのは、株式会社グリーンツリーの森田健太郎代表取締役社長。森田さんは、現マカフィー株式会社で世界No.1セールスとして表彰された経験を持つ敏腕で、2006年にこの会社を設立。現在は『速効SEOブログ』というブログ感覚でホームページを制作できるソフトにより業界トップクラスとなっている。起業家として成功を収めた森田さんに、起業についてのお話を伺った。

「私達のプログラムはアートなんですよ。だからね、我が社のビジネスモデルを競合に話しても真似出来ない。超えられない差があるんです」と森田さんは語った。超優良商材『速効SEOブログ』には驚くべき企業努力とノウハウがつまっている。今までにシステムにかけた何千万という額、何年間と作り上げた大小様々なシステムとその連動性、それはまさに石と労力を積み重ねて出来たピラミッドの様。しかし、良き社長の模範解答で終わらないのが森田さん。「ここまで頑張れたのは“強欲な目標を持つ”ことが出来ていたからなんですよ」これが森田さんの考える起業家として大切なことなのだ。目標こそが自分を引っ張ってくれる、だからこそ目標は高くしなければならないということだ。「俺はジェット機を買うんだ!ぐらいの目標を持つべき」と笑いながらも真剣に語る。しかし、思っているだけでは意味がなく、行動に移さないといけないとも続けた。そして「ありきたりだが、最終的にはガッツ!絶対に上手くいうという気持ちが大切」とのこと。これは、No.1セールスマンとして思考があるからこそなのだろう。

このような成功を収めた森田さん。しかし、未だ歩みを止めようとしないのは“強欲な目標”があるからだろう。そして最後にこう締めくくった。「起業という選択肢は2番目にいいですね。アメリカみたいに頭のいい人ほど、起業するべきなんです。そして現代学生にはガッツをもって羽ばたいてもらいたい。えっ、1番目は何かって?それは、グリーンツリーに就職することですよ(笑)。そんな企業にしたいです」

慶応義塾大学/岩橋

「家族が、子どもが大事」を履き違えている  — 花王株式会社・美崎栄一郎さん

 家族が大事、という声をよく聞く。確かに大事だけれども、僕は何かが違う気がしていた。自分の家族を守る、自分の家族と繋がるという、小さな世界への内向きな力ばかりが強すぎる気がしていた。
そのように思っていた時、花王の研究者でありながら数多くのビジネス書を出版している美崎栄一郎さんと出会った。尊敬できる先輩がいなくなった現代の企業に対して問題意識を持ち、きちんと教える先輩の役割を出版する本で果たしたいと考える美崎さん。多忙な日々について、ご自身は次のように語った。
 「正直、妻も子どももほったらかしですよ。でもね、それでいいと思っているんです。僕が父親として行わなければならないことは、単に子どもと時間を過ごすということではない。この社会、時代に生きている一人の人間として、少しでも世の中を良くしていくことだと思っています。そして、それを子どもに受け継いでいくことが重要ではないでしょうか。そして今、僕の問題意識は企業の中で、きちんと次の世代に物事を教えていく先輩がいなくなったこと。それがなくなると、この日本はダメになると僕は思っているんです」
 家族とは何か?家族を守るとは何か?そして、生きるとは何か?
それを考えるヒントが美崎さんの言葉には詰まっているような気がした。これを読む皆さんにも考えて欲しいと思った。
 美崎さんの話を聞いて僕は思う。美崎さんのような人が増えれば、美崎さんの書く本はきっと必要なくなるだろう。売れなくなるかもしれない。しかし、そのことを一番喜ぶのは、美崎さん本人なのではないか、と。

■取材■
 慶應義塾大学/島