マニュアルより自己開示 ー ユニチャーム

 就職氷河期と呼ばれる現在、とにかく大企業に就職したい、という学生が増えていると感じる。そのような中、実際に早稲田大を卒業し、ユニ・チャームに内定した古賀百合絵さんに、どのような目的意識を持ち就職活動を行ったのかを聞いた。そこには、就活のマニュアルを身につけ、内定を勝ち取る、というのではなく、自分なりの人生を生きていきたいという古賀さんの想いがあった。
■会社を選んだ基準
 今後の人生の多くの時間を「働く」ことに充てるのだから、自分にとってその会社が、どれだけ挑戦的なフィールドなのかを重視しました。そこから必然的に、個々人の責任範囲が大きい、所謂「少数精鋭主義」の企業や新しい市場をグローバルに開拓できる企業を選んでいました。
 ユニ・チャームを選んだ決め手は、“人”と言えばありきたりですが、社員の方とお話しする中で「この人の仕事へのモチベーションに共感できる」と思うことが一番多かったことです。もちろん各人が自分の喜びのために働くべきですが、最後の拠り所になるのはチーム・会社・世の中など自分ではない「他」だろうと考えていました。誰かを幸せにするために、という想いが一致していると気付いたときに、ここで働きたいと強く思いました。
 メーカーの魅力は、自分達が生み出すブランド・商品を通じて、これまでの常識を覆し、さらに新しい価値観を提供することができる、ということだと思います。例えば、ユニ・チャームではこれまで、「生理用品を店頭で堂々と売る」「介護用オムツ+リハビリの新概念」「オムツがない国に“使い捨てオムツ”という新習慣を根付かせる」など新しい習慣・常識を創造してきた歴史があります。これは世界中の人が毎日使うものを作るメーカーの醍醐味だと感じます。 
■就職活動に対する姿勢
 ある企業の方から「地に足が付いた情熱、向上心の塊ですね」とフィードバックを頂いたことがあります。熱いビジョンをしっかり持ちつつ、そこまでの道筋や今の自分に足りないものを冷静に分析していました。もともとオープンマインドな性格なので、積極的に自己開示し、毎回の面接を楽しんでいました。
 個人的な話なのですが、父は21歳の時に起業、母は21歳の時に結婚という選択をしていたので、自分は違う道を行ってみようと思い、国内就職という選択をしました。ですが、実は外資系企業中心に就職活動を行っていて、最後まで他の外資系メーカーと悩んでいました。正直なところ、この選択肢がベストなのかどうかはまだ分かりません。でも心を決めた以上は、自分の力でこの選択を正解にすれば良い、と考えています。
 ただ、これからの人生でどういう働き方をするにしても、会社の中だけで思考停止するのではなく、広い視野で自分を健全に否定し、人材価値を成長させ続けたい、と思っています。

■取材■
 東京大学/馬場嵜

未来は僕らがつくるもの — 結婚したら、 どちらの姓を選ぶか?

 いつか結婚するつもりがある人へ。結婚する時には夫と妻のどちらの姓を選びますか?
 もう結婚した人へ。夫と妻のどちらの姓を選びましたか?それは、何故ですか?
 こう聞かれた時「えっ、夫の姓じゃないの?」と思った人へ。どうしてそう思いましたか?
日本で結婚をする際、民法七五〇条では「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」とだけ定められています。
しかし実際には95%以上の夫婦が夫の旧姓を選び、そして残りの数%も何か特別な事情があってという場合が(未だに!)多いのです。
 今の日本では長男相続の意識も薄れれば長女だって多いはず。結婚後に妻が働くケースも多いし、もはや夫だけが社会生活をおくる時代でもないでしょう。
 ならば殆どの夫婦が婚姻の際に夫の旧姓を選ぶのはなぜなんだろう?
答えはきっと「なんとなく」「慣習として」なのだと思う。
 大学3年で僕なりの理由を見つけ親を説得し結婚した僕は、妻の旧姓を選びました。
 この話を人にすると、やはりほぼ100%「婿養子に入ったの?」という反応が返ってきます。
 これに対して僕は笑いながら「そんなんじゃねえよ、いつの時代だよ」と答え、以下の説明をすることにしています。
①「広い世界の中、『家』なんていう意識より個人の自由な可能性を重視した」
②「自分が改姓に伴う煩雑な手続きや様々な変化を体験することで、日本の多くの女性の気持ちを共有できるのではと考えた 」
③「皆が考えるきっかけになれば面白いと考えた」
④「単純に、名字が変わるなんて新鮮な体験だと思った」
そして、
⑤「慣習には慣習としての意味以上のものはなくて、未来は俺達が作るもんだよ」この文章を呼んでいるあなたも、これからの未来を作っていく。
 ひとりひとり形は違えど、柔軟な今の世代(=あなた)がこれから先、結婚のイメージも変えていくだろう。

■記事■
 東京大学/入矢

エネルギーを使わない方が楽しい! — 群馬県桐生と群馬大工学部

 朝起きたら緑に囲まれた庭に出て、小鳥のさえずりを聞きながら日陰に置いたテーブルでコーヒーをすする。そよそよと吹く風が心地良く、ミツバチが鮮やかな色をした花を行き来するのを見ながら朝食を取る。優雅な生活に聞こえるだろうか?桐生市で今年の夏行おうとしている新しいライフスタイルの一貫だ。一見優雅に見えても実際はほとんどエネルギーを使っていなく、桐生市では庭を持っている人も多くコストもかからない。それでも実際は家の中でクーラーをつけて「もっと良い生活はないか」と思って生活をしている人が多い。
 桐生市では群馬大学大学院工学研究科宝田恭之教授を中心として、群馬大学工学研究科と地域の住民が連携して「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」を掲げたプロジェクトを行っている。そこでは「車を使わないライフスタイル」と言うコンセプトから、地元の川の流れで充電された蓄電池を用いる買い物用一人乗りEV「μ―TT2」や、どこでも乗り降りできる低速電気バスの開発などを行っている。政府が提唱している電気の使用量の15%削減に関しても桐生市では地元の人に「楽しく」エネルギーを削減できる方法を募集している。冒頭で紹介した「優雅な朝ご飯」もその中の一案である。暗い中で生活したり、テレビを見ない様にしたり、暑い中耐えたり、我慢する様なやり方は続かない。
 上記の企画は桐生市だからこそできた限定的なものではない。と言うのも桐生市は群大生が桐生で何も面白いものがみつからず、つまらなくてやる気がなくなってしまう事を「桐生病」と呼ぶほど一見何もない地域であったのである。「自らの地域の価値や特性を知る事が大事」と宝田教授は言う。実際桐生市でも地元の歴史、文化などを調べる所から始まった。
 東京にいれば娯楽はなんでもある様に思える。洒落たレストランがあり、流行りの服が買え、映画や美術に興じられる。しかし何でも与えられてしまっているが故に受け身になってしまい、自ら「面白い」を考える事をしなくなってしまったのかも知れない。私達はもっと地元を見る努力、知る努力をしなければならない。東京では東京のやり方が見えてくるはずである。
 技術だけでエネルギーを削減するには限界があり、我々のライフスタイルも変化させる必要がある。その様な観点からは桐生市は世界最先端であると考えられるのではないだろうか?桐生市から日本、世界へと広がって行けば「楽しい」未来が待っていそうだ。

■取材■
 東京大学/小谷